『カフェ巡り』を小馬鹿にしてた自分が恥ずかしい。
私は、カフェというものは大きく3つに分けられると思っている。ドトールやスタバのような大手チェーン店とパンケーキが売りの女子大行列店、そして大通り一本外れた路地にある個人経営店だ。
コーヒー1杯に対してあのセルフサービスの砂糖やミルクをどれくらい淹れたらいいのか分からない、というか一緒に席へ持っていくのを毎回忘れる、そんな私はいつもブラックだ。
カッコつけたいわけじゃない。
何も分からないから恥をかく前に何も触れないようにしてるだけ。
もちろんコーヒー豆の違いも分からない。
だから私はカフェに入るときにかなり緊張する。大手チェーン店はチェーン店故に手馴れる感を醸し出すのに必死だし、パンケーキは溶けてく生クリームとチョコクリームが混じってお皿のぐっちゃぐちゃさは不可避だし、個人経営店はもう論外。あの店先に生い茂ってる蔓が私を拒んでるかのように見える。いや、あれは絶対拒んでる。
そんな私にとってカフェ大好き人間はきっとSNS中毒の副産物なのだろうと思っていた。
ドリンクとケーキ頼んで写真撮ったら、あとは友達とぐだぐだ連絡取って、待ち合わせ時間がきたら一気に口の中へと詰め込んで飲み込んでお会計。ただ充電消費して滞在時間30分くらいで750円くらい掛かるのかな。最低賃金でも1時間で750円なのに。
卑屈寄りの考えだとは思うけど、事実でもあると思うんだよなぁ。今となっては思ってました、だけど。
先日、街中での用事を済ませて暇を持て余した私はついに1人カフェデビューを果たした。
結論を言うと、私はタイトル通りすっかり懐柔された。カフェの素晴らしさを知ってしまった。
訪れたのはお兄さんが1人で営んでる喫茶店。
店先の蔓が初心者客を拒んでるように見える喫茶店で、路地裏にある隠れ家的な喫茶店だった。
と言っても、ネットで『カフェ おすすめ 隠れ家 』で検索するとヒットするような隠れてるんだか隠れてないんだかよく分からない喫茶店だった。
まぁ、じゃないとこんな私が見つけられるわけないか。
入ってみるとテーブル席が4つあるだけのこじんまりとした内装だった。それでも、暖かみのある照明に耳触りの良いBGMと居心地のいい空間だった。
注文したのはハニートーストとコーヒーのセット。ハニートーストはふわっふわで蜂蜜は程よい甘さ、コーヒーは猫舌の私でも一口目から味わえる適度な暖かさだった。つまりは絶品。
先にハニートーストを平らげてしまったので、コーヒーをゆっくりと嗜みながら私は手帳を広げた。
今後の予定がだいぶ散らかっていたのでここいらで整理しようとしたのだ。溜まるに溜まっていた予定リストやTODOリストたちがさくさくと整理されていく…
これがカフェ効果なのかもしれない。
追われる時間に慌てる事なく、これからの事を落ち着いて考えて、綺麗にまとまっていく。
心なしか手帳に書かれていく自分の筆跡がすごく丁寧に見えた。
確実に一歩、オトナへと進んだ気がした。
スマホに搾取されて感じる事がなかった、時を過ごすということを久々に体感したと思う。
カフェってすごい。
私は絶対また行く。